あなたは、利用者さんの対応にストレスを感じてイライラしたことはありますか?
例えば、介護施設では日常的にこんなやり取りがあると思います。
5分後…
一回ならまだしも、5回・10回と同じことを繰り返されると程度の差はあれ誰だってイライラしてきます。
忙しく、仕事の時間が押しているときならなおさら「イラッ」っとしますよね。
時には利用者さんに冷たく接してしまうこともあるかもしれません。
ですが、同じことを繰り返し言われて冷たく接してしまうのは、介護職としてあまりよくない事というのは、介護の仕事をしている人ならわかっている事だと思います。
できるなら、利用者さんに優しく接して、穏やかに過ごして頂けた方が、お互い気持ちが気持ちがいいですよね。
この記事では、同じことを繰り返す利用者さんにイライラしないための7個の対処法と、ついイラっとして冷たい態度をとってしまった時の対処法を紹介していきたいと思います。
同じことを繰り返すのは認知症の症状です

まずはじめに、同じことを繰り返すのは認知症の症状からくるものです。
理由もなく同じことを繰り返しているのではなく病気の症状なんだな、と分かっている相手に対して思いやりがでてきます。
繰り返しの行動は認知症の症状です
繰り返しの行動は、短期記憶障害からくるものです。
脳の萎縮から、記憶の機能が低下し、少し前に起こったことが記憶から無くなってしまいます。
忘れてしまっているだけなら、きっかけにより思い出すこともありますが、記憶から無くなってしまったことは思い出せません。
あなたが、まったく身に覚えのないことを「さっきから何回も言ってるよ」と言われたらどう感じるでしょうか?
きっと、「何回も?そんなこと言わた覚えあるわけない」と思うのではないでしょうか?人によっては怒りさえ感じるとおもいます。
あなたが怒れば、利用者も怒りだす
何回も同じことを言われると、イライラして時には怒り口調で諭すように話しかけてしまうこともあるでしょう。
ですが、説明したように、利用者さんには全く身に覚えのない怒りです。
何にも気を悪くさせることをしていないのに、怒り口調で諭されれば誰だって相手に対して悪い感情を持ちます。
こうなってしまうと悪循環で、利用者さんは怒りをますます募らせ、職員もますますイライラしてきます。
そのことを踏まえて、同じことを繰り返す利用者にイライラしない7個の対処法を紹介していきます!
繰り返しの行動は、不安からくるもの
冒頭の「家にかえりたい」を繰り返す例では、「どうやって帰ることが出来るのか思い出せない、はたして家に帰れるのだろうか?」という不安がある事が繰り返し行動の原因となっている場合が多いです。
同様に、他の繰り返し行動に関しても、記憶の欠如からくる不安が原因である場合が多くあります。
繰り返し行動の対応の基本は、「不安を取り除く」というところにあります。
同じことを繰り返す利用者にイライラしない為の7個の対処法

同じことを繰り返すのは認知症の症状であること、イライラと怒りを隠しきれずに対応すると、ますます状況が悪化すること、そして繰り返し行動の対応の基本は「不安を取り除くこと」だと紹介しました。
そのことを踏まえて、同じことを繰り返す利用者にイライラしないための7個の対処法を紹介していきます!
【同じこととを繰り返す利用者にイライラしない7個の対処法】
- 相手に合わせ、初めて聞かれたかのように優しく話す
- メモ等、文字にして渡しておく
- 好きな事をしようと誘う
- 利用者のよく行うことに誘う
- 温かい飲み物を飲んでもらう
- 利用者の歴史を調べておく
- 利用者さんの近くから離れる
①初めて聞かれたかのように優しく話す
同じことを繰り返す利用者は、記憶の欠如から「不安」の感情を持っています。
その不安から、同じことを繰り返してしまいます。
そのため、不安を取り除くことを第一に考え、対応することが大切です。
優しく話すことに加え、相手に目線の高さを合わせる、ある程度の信頼関係があるなら体をさする事に加え、相手に共感することで不安が軽減されます。
不安が軽減されることにより、繰り返しの行動が落ち着くことがあります。
共感とは共感というと「あなたの気持ち、分かります」というのが思いつくと思いますが、ここでいう共感は、利用者の話に意識を集中し、相手に「この人なら分かってくれる」と思ってもらえることです。
身体のあちこちに痛みがあり「とても痛いのよ」と訴える利用者に、「あなたの気持わかります」と伝えても、分かるはずがないと反感を買うだけです。
「痛くて辛いんですね…」と相手の話を繰り返すことで、「そうなの、痛いのよ」と相手の気持ちに寄り添うことが出来ます。
②メモ等、文字にして残しておく
「今日の夕方4時に車でお家に送ります」などとシンプルな言葉をメモに書き、机の上の様な、いつでも目に入る場所に貼ります。
不安に思った時にいつでも確認できることで、不安を軽減します。
③好きな事をしようと誘う
塗り絵をする、本を読む、テレビを見る、散歩をする、歌を歌う、利用者さんが楽しいと思うことに誘ってみましょう。
私たち自身も、いやな事、不安な事があったとき、趣味などで気晴らしをします。
利用者さんにとっても、気が晴れることをすることで不安が軽減します。
④利用者がよく行うことに誘う
トイレによく行く方、お尻が痛くて座り直しの介助を訴える方、靴のマジックテープをしっかり閉めることにこだわりがある等、利用者さんにはそれぞれ、よく聞かれる訴えというものがある場合があります。
よく聞かれる訴えというのは、その利用者さんのこだわりや、何に対して不安や不満があるのかが現れています。
そのことを解消してもらうことにより、安心して心が晴れ、繰り返しの原因となっている不安も同時に軽減されることがあります。
⑤温かい飲み物を飲んでもらう
温かい飲み物には、気分をリラックスさせる効果があると言われています。
体がリラックスすることにより、不安が軽減されます。
また、温かい飲み物は飲むのに時間がかかります。
その間は繰り返し行動を抑えられ、飲むのに時間がかかる事により、不安に思っていた気持ちが解消されていることもあります。
⑥利用者の歴史を調べておく
自分たちが見て知っている利用者さんの姿だけが、その利用者さんの姿ではありません。
あたりまえですが、長年生きてこられた中で色々な事を経験されています。
輝かしい経験や、武勇伝など、こちらから聞きに行くことで、良い気分でお話をしてくれて、不安が軽減されることがあります。
⑦利用者さんの近くから離れる
不安を言葉にすることにより、さらに不安になってしまい、ますます落ち着かなくなる場合があります。
そんな時は、利用者さんのそばから離れ、行動を静かに見守りましょう。
別のことに興味が移ることにより、不安が軽減されることがあります。
イライラして冷たい態度をとってしまった時の対処法

同じことを繰り返す利用者さんにイライラしないための対処法を7個紹介しましたが、ついイライラしてしまい、冷たい態度をとってしまうこともあると思います。
なるべく、冷たい態度をとる前に、利用者さんのそばから離れるなどで事態の悪化を防ぎたいところですが、そうもいかない場合もあります。
ここでは、イライラして冷たい態度をとってしまった時の対処法を紹介します!
介護職だって人間、冷たい態度をとってしまうこともある!
冷たい態度をとってしまうのは介護職として良くない事と分かっていても、絶えず良い対応を出来る介護職の方はそうそういません。
私自身も、イラッとして冷たい態度や、利用者さんを悪い気分にさせていします対応を行ってしまうことがあります。
特に介護職は、繰り返し行動だけではなく、ついイラっとしてしまうストレスの多い仕事、必要以上に自分を責めるのはやめましょう。
冷たい態度をとってしまった後が大切!
私自身の経験上、利用者さんにイラっとしてしまった後のイライラは、そんなに長い時間継続する物ではないことが多いです。
仕事が終わってしまえば、大体のイライラは治まっています。
気持ちを切り替えて、次にその利用者さんと接するときに思いっきり優しく接することを心に決めておきましょう。
優しく接することが出来れば、大体の利用者さんは優しさで返してくれます。
冷たい態度をとった次の時は、優しく接する!と決めておけば、だんだんと多くの利用者と良い関係を築いていけます。
その積み重ねにより、あなた自身がイライラすることや、冷たく接してしまうことが少なくなってくるでしょう。
まとめ
同じことを繰り返す利用者にイライラしないための7個の対処法と、冷たい態度をとってしまった時の対処法を紹介させていただきました。
繰り返し行動は認知症の症状であり、その行動は「不安」が原動力となっています。
対応の基本はその「不安」を取り除くことです。
ここでは7つの対処法を紹介しましたが、各々の利用者さんに合った対処法を見つけて不安を軽減していくことが、穏やかな生活を送る手助けとなります。
ですが、介護職も人間です。
いつでも100点満点の行動をとれるわけではありません。
ついイラっとしてしまい、冷たい態度で接してしまうこともあるでしょう。
そんな時は、次に接する機会があったときに、いつも以上に優しさを意識して接するようにしましょう!
その積み重ねが、利用者さんの不安、あなた自身のストレスやイライラを軽減していきます!
「介護の拒否がなくなる魔法の技術」といわれる認知症対応法の記事↓も合わせてご覧ください!