【認知症の接し方】介護の拒否が無くなる?魔法とよばれる注目の技術とは?

クローバー

 

 

認知症の利用者がいる施設で働く介護職なら、誰でも経験する介護拒否。オムツの交換や口腔ケアをさせてもらおうものなら、腕を振り回し、激しい拒否をみせる利用者もいます。

そんな認知症の方に効果が高いと注目されている介護方法、それが「ユマニチュード」です。

 

ユマニチュード」を知っているか、知らないかで認知症のケアに大きな差が出ます。認知症の対応で「これで本当にいいのかな?」と疑問をもった事のある方にぜひ知って欲しい技術です。

ユマニチュード」を実践できれば、利用者だけではなく自分自身も満足する介護が出来るようになるでしょう。

 

 

ユマニチュードとは?

 

ユマニチュードとはフランス語で「人間らしさ」という意味です。認知症のケア方法でフランスで最初に生まれました。

ケアの実施にあたっては「見る」「話す」「ふれる」「立つ」の4つを基本とし、それらを組み合わせて実践にあたります。

たとえば「アイコンタクトが成立したら2秒以内に話かける」「言葉をかけながら、相手に静かにふれる」等です。

 

ユマニチュードは、それらを実践することで、「あなたを大切に思っています」という事を相手に伝えます。

大切に思われていると感じる事で、自分自身が必要な人間であると感じられ、前向きな気持ちで生きる事につながります。

 

認知症の方は、全ての事を忘れる訳ではありません。自分に向けられた感情をしっかりと読み取り、嫌な思いをすれば嫌な感情が、良い思いをすれば良い感情が残る傾向にあります。

介護を受ける際に、大切に思われていると感じる事で、よい感情が残り、介護拒否などの行動が軽減されていきます。

 

 


大切に思われてると感じる人には、自分も優しくできるもんね!

 

ユマニチュードを実践するための心がまえ

 

ユマニチュードのケア方法を実践する際に、大切な心がまえを説明します。

 

「大切に思っている」と伝えるには技術が必要

心をこめて介護をしているのに、介護拒否や暴言をもらう。介護する側はストレスがたまると思います。心をこめているのになぜ? それは、相手に伝わっていないからです。

相手に「大切に思っている」と伝えるには、技術が必要です。「大切に思っている」ことを伝える為に、ユマニチュードの技術を使う、と理解すると実践がしやすくなります。

 

介護士の感情

介護士も一人の人間です。介護拒否が頻繁にある、帰宅願望が数分おきに聞かれる、などを多く体験すると、「この人は手がかかる」「この人は困った人」と思ってしまう様になります。

そのような思いで声かけすると、言葉の内容は相手を思いやる内容であっても、表情、声色、視線などから、相手には負の感情として伝わります。

「大切に思っています」と相手に伝わるように、あえて専門職であることを意識して、ユマニチュードの実践に取り組みましょう。

 

 


「大切に思っている」ことを相手に伝えるには技術が必要なんだね!

 

ユマニチュードの4つの柱

 

ユマニチュードは「見る」「話す」「触る」「立つ」の4つの柱でなりたち、それらを組み合わせて実践します。

 

 

ユマニチュードの4つの柱

 

  1. 見つめること
  2. 話かけること
  3. さわること
  4. 立つこと

 

ユマニチュード」の4つの柱について、どのようなものかを説明します。

 

 

ユマニチュード「見る」技術

 

「見る」ことにより伝えられること

水平、もしくはやや下の位置に視線をあわせ、正面から相手に近づいていき、最終的に相手と20cm程の距離まで近づくと良いとされています。正面の位置は「正直さ」を伝え、近い位置は「優しさ」や「信頼」を相手に伝えます。

そして、見つめる時間が長ければ「愛情」を相手に伝えます。その3つにより、非言語のポジティブメッセージを相手に伝える事が可能です。

 

「見る」ことの実践

実際の介護を行う際に当てはめてみると

  • 利用者の正面の位置から近づいていく
  • 視線を合わせ、相手とアイコンタクトをとる
  • アイコンタクトが取れたら2秒以内に話しかける
  • 20cmほどの距離まで近付く

 

相手とアイコンタクトを取れたら、2秒以内に話しかけます。そのことにより、相手に「見る」事による非言語メッセージを伝えやすくなります。

逆にアイコンタクトがとれても、何も話しかけずに近づいたら、相手は何をされるんだろうと「恐怖感」を覚えてしまいます。

ここでは、「見る」「話す」を組み合わせています。ユマニチュードの技術は単体で使用するのではなく、組み合わせることで効果を発揮します。

 

「見る」事の効果は、逆の場合を想像すると分かりやすいです。

「書類を持ち、後ろから相手に近づき、声をかける。びっくりして相手は振り向く。書類に視線を落としたまま相手に用件を言い、そのまま視線を合わさず去っていく。」

どうでしょうか?同じ内容を伝えたとしても、相手に与える感情は良いものでない事は間違いありません。

 

「見る」技術で最初に行う事は、相手の視界に入ることです。「ベッドに寝ている」「イスに座っている」「歩いている」どんなケースでも、まずは視界に入る位置からスタートし、正面から近づき、目線の高さを同じにする事が大切です。

 

 

 


なにごとも実践!最初は気恥ずかしいけど、慣れてくるよ!

 

 

ユマニチュード「話す」技術

 

「話す」ことにより伝えられること

 


おはようございます、今日は暖かいですね!

 


おはようございます、いい天気ですね

 

何気ないあいさつでも、言外に相手に伝えている事があります。それは、「わたしはここにいます」、「あなたもここにいます」という存在の確認です。

存在を認められることは、人にとってもっとも基本的な望みです。

人間の最後を考えるとき、聴覚は最後まで残る機能だと言われています。寝たきりで言葉を話すことが難しい方でも、「話す」ことで「あなたはここにいます」と伝える事は大切なことです。

 

 

「話す」ことの実践

優しく」「穏やかに」「ゆっくりと」話かけます。そして話しかける際は、ポジティブな言葉をつかいましょう。

認知症の利用者の中には話しかけても反応が薄かったり、返答が出来ない方もいると思います。そんな時に有効なのが、「オートフィードバック」という技法です。

「オートフィードバック」の技法では、介護を行う際に、ポジティブな言葉を使って予告、実況します。

 


これから、お背中を洗いますね、汗を流してさっぱりしょう

 


   ………   

 


これから右足を洗いますね

 


   ………(右足を上げる)   

 


右足がとてもよく上がりましたね、どうもありがとうございます

 


洗い終わりました。次はお風呂に入りましょう。あったかくて、気持ちいいですよ

 


   ………(♪)   

 

返答はなくても、ポジティブな言葉でこれからすることを予告・実況することで、いきなり何かをされる「恐怖心」を取り除き、言外で「あなたはここにいます」と伝えることができます。

また、ポジティブな言葉を使うことで、相手に良い感情を残すことが出来るようになります。

「うるせえ!」「いてえな!」と暴言を言われても、ポジティブな言葉で返す癖をつけていけば、その利用者に次第に変化がでてくる可能性が生まれます。

 

 

 


うるせえ!って言われたけどポジティブ、ポジティブ!利用者さんのいいところを探していこう!

 

 

ユマニチュード「さわる」技術

 

「さわる」ことにより伝えられること

赤ちゃんが泣いている時に、だっこをすると泣きやむといったことがあります。あつすぎでもなく、つめたくもない、程よい温もりに心がおちつき、安心感がうまれる為と言われています。

同じように、介護の場面でも、さわることにより相手が「安心感」を感じることが出来ます。

 

「さわる」ことの実践

穏やかに」「優しく」「ゆっくりと」「包みこむように」「広い範囲を」さわることで「安心感」が生まれます。

気をつけなければいけないのが、さわる場所です。人間にはさわられると嫌な感情がわく場所があります。顔やおなか、手首などの敏感な場所がそれにあたります。

まずは鈍感な背中、上腕などからさわるようにし、掴むのではなく、やさしく支えるようにさわりましょう。「掴む」行為は強制的になにかをされると感じさせてしまいます。

 

「さわる」を実践する際には、「見る」「話す」の技術と組み合わせて行うようにしましょう。「さわる」の技術単体では、相手に安心感を与えることは難しいでしょう。

 

 

 


いきなり掴むのは厳禁!私だってやられたらビックリするよ

 

 

ユマニチュード「立つ」の技術

 

 

「立つ」ことにより伝えられること

人間にとって、立つことはとても重要です。寝たきりの状態を想像して見てください。目の前には天井があり、横は壁。視覚から入る情報の乏しい、せまい世界に存在している状態は認知機能を低下させます。

立つことにより、人は広い世界にいるんだと自覚することが出来ます。それは人の尊厳を保つ上でとても大切なことです。

また、立つことは骨粗鬆症や筋力低下の予防につながります。骨折や筋力低下による活動量の減少は、認知症に悪い影響を与えます。

 

「立つ」ことの実践

1日20分程度は、歩く機会をつくるとよいとされています。利用者の生活状態にあわせ、整容やトイレ、ちょっとした移動の際に、歩く機会をつくり、1日20分を目指しましょう。

ただ、「立つ」ことには転倒のリスクがともないます。まず第一に考える必要があるのは利用者が安全に暮らせることです。

立位の取れない利用者に歩いてもらうのは無理があります。そういう場合は、車椅子に座っていただくなどで、広い空間を感じてもらいましょう。

 

 

 


ずっと天井だけを見つめているなんて辛いよね…。少しでも気持ちに寄り添えていけたらいいな

 

ユマニチュードの実践に大切なこと

ハート

 

ユマニチュードの4つの柱、「見る」「話す」「さわる」「立つ」で構成されますが、たとえば、「見る」だけを実践しても効果はありません。

「見ながら話す」「話ながらさわる」「さわりながら立っていただく」など、組み合わせて実践し、はじめて効果がうまれます。

 

4つの柱は「あなたを大切に思っています」と伝える為の技術です。ですが技術のみでは相手に伝えることは難しく、介護士の心もちも重要な要素の一つです。

技術と心、その両方がそろって初めて「あなたを大切に思っている」と伝えることが出来ます。

 


ユマニチュードに興味をもつ!そういう人は、相手を大切に思う心をもっているはずだよ!

 

 

まとめ

 

魔法のケアとよばれる認知症のケア方法、「ユマニチュード」の紹介をさせていただきました。

現役介護士である私も、認知症の方の介護にあたる際、これでホントにいいのかな?と不安になった時期がありました。

そんな時に知ったのが、「ユマニチュード」です。初めて知った時は、「ユマニチュード」に魅力を感じつつも、業務中にそんな事する時間を作れるのか?と疑問に思いました。

ですが、全ての場面で実践することは難しくても、部分部分で取り入れることは可能です。

それだけでも、利用者の反応は以前より良いものに感じられ、自分自身も仕事をする上で心がかるくなりました。

ユマニチュードは認知症の対応だけではなく、色々な人間関係の場でも有効な技法です。家族、友人、職場の人。ぜひ試して見てください。相手を大切に思っている事を伝えられるはずです。

 

 

利用者と信頼関係を築くために大切な7つのことについて紹介した記事↓も良かったらご覧ください!

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